• トレイニョル寺子屋 10年間の歩み 活動報告書NEW!
  • 2025年3月ユネスコ世界
    寺子屋運動 活動情報
  • 2022年度世界寺子屋運動
    カンボジア活動報告
  • 2021年度カンボジア寺子屋
    完成報告
  • スグォン・ソパル(コックスロック寺子屋)識字学習がもたらしたもの
  • 倉木麻衣への手紙
  • トレイニョル寺子屋 活動報告

<< トレイニョル寺子屋 10年間の歩み 活動報告書(2016–2026) >>

【概要】

本報告書は、倉木麻衣様をはじめとする皆様による寛大で継続的なご支援のもと、トレイニョル(Trey Nhoar)寺子屋がこの10 年間(2016年2月〜2026年2月)に達成した成果をご報告するものです。寺子屋はシェムリアップの町から北西へ約35km、プオック郡トレイニョル町、クックドゥオン村にあります。教育へのアクセスや経済的利益を得る機会が長年にわたり限られてきた農村地域に設立された本寺子屋は、包括的な学びの機会と持続可能な地域づくりという喫緊のニーズに応えるために設置されました。
2016年2月25日の開所以来、寺子屋は、町全体の家庭に対する教育、社会への参画、生計向上を促進する重要な地域拠点へと発展しました。ひとつの小さな取り組みとして始まった本センターは、子ども、若者、大人が知識に触れ、技能を伸ばし、より良い未来に向けた自信を育めることができる信頼される施設へと段階的に成長してきました。皆様の思いやりのあるご支援、そして地域住民の参加によって、学びが価値のあるものであり、地域の住民は自らの発展に主体的に関わることが求められるという環境が育まれてきました。
過去10年にわたり実施してきた教育プログラムは、識字の改善と学習機会へのアクセス拡大において大きな変化を生みました。成人識字クラスでは、多くの参加者、なかでも女性が、初めて読み書きを身につけ、日々の生活においてより自信を持って行動し、子どもの教育を支えられるようになりました。幼児教育プログラムは、子どもたちの就学前準備となり、図書室は生徒や住民が安心して集い、読書習慣や生涯学習を育む空間となりました。さらに、急速に変化する世界環境に対応できるようコンピューター教育 も導入し、子どもたちがデジタル学習にアクセスし、将来の学業・職業上の発展に不可欠なスキルを身につけられるようにしました。
教育の発展と並行して、寺子屋は世帯の生計と困難からの回復力を強化するための地域支援を実施しました。コミュニティ支援基金、家畜(牛)の飼育、米銀行といった収入向上プログラムは、農業生産性の改善、季節的な食料不足(注:とくにコメの収穫期直前は前年度のコメの備蓄が不足することがあります)への対応、高利貸しへの依存低減に役立ちました。これらは経済の安定性を高めただけでなく、地域内の協力、共同責任、相互の助け合いを促進しました。
こうした継続的な連携と温かいご支援を通じて、本プロジェクトは識字の改善、教育機会の拡大、食料安全保障の強化、経済的に脆弱な家庭における困難からの回復に大きく貢献してきました。長期にわたる支援であったからこそ、プログラムは着実に成長し、短期的な援助では達成できないレベルで地域の自立を継続的に後押しすることができました。
この10年の間に、2,000人を超える地域住民が、寺子屋により提供された教育プログラム、地域サービス、収入向上活動から直接的な恩恵を受けました。これらの測定可能な成果以上の最も大きな成果は、地域住民の間に希望、自信、自立の力が育まれたことです。子どもたちは今、高等教育を目指すようになり、保護者は学びの大切さをこれまで以上に理解し、家族は社会・経済の課題に立ち向かう力を備えるようになりました。
トレイニョル寺子屋が重ねてきた歩みは、意義ある国際的協力と開発の表れです。皆様からの継続的なご支援は、生活の質を高めただけでなく、学びと協働の文化を生み、そしてそれらの思いは今後の世代にも恩恵をもたらし続けます。

【設立の背景と目的】

トレイニョル町は農村の農業地域で、これまで教育へのアクセスや経済的利益を得る機会が十分に行き届かない状況が続いてきました。多くの大人が基礎的な読み書きすらできず、子どもたちは就学前段階から学びの機会を阻まれ、家庭は季節的な食糧不足や不安定な収入にさらされていました。
こうした課題に応えるため、皆様のご厚意あるご支援をいただき、寺子屋は次の共通ビジョンに沿って設立されました。

  • ・生涯学習の機会を広げること
  • ・困難を抱える子どもと家庭を支えること
  • ・地域の自立性を高めること
  • ・持続可能な地域の発展を後押しすること

この取り組みは、地域住民の参加と当事者意識を大切にしながら、国際的な協力と連帯による支えを受けて進められています。

【教育分野での成果】

●成人識字教育

成人向けの識字プログラムは、この10年間にわたるセンターの取り組みの中でも、 もっとも影響が大きい活動でした。成人が生計を向上させ、地域生活にしっかり参加していくうえで、読み書きの力が不足していることが大きな壁になっているという現実を踏まえ、寺子屋はすべての住民、とりわけこれまで正規教育の機会に恵まれなかった女性の方々に届くよう、通いやすく誰でも参加できる識字教育を最優先で整えてきました。2016年から2025年までの間に合計20クラスの識字講座を開講し、受講者は504名(男性81名・女性423名)にのぼりました。なかでも女性の参加が非常に多かったことは、教育が全ての人々に届きつつあること、地域におけるジェンダーエンパワーメント(女性の参画・活躍)が着実に進んだことを示すものです。文字の読み書きがほとんどできない状態で参加した方も少なくありませんでしたが、継続的な学習支援と励ましによって、参加者は少しずつ基礎的な読み書きの力を身につけ、自信を高め、社会参加にも前向きになっていきました。
こうした識字教育の効果は、教室の中にとどまりません。受講者の方々からは、日常のやり取りでの自信が増したこと、健康や保健に関する指導や市場価格といった基礎情報を自分で読めるようになったこと、家計管理がしやすくなったことなど、生活の幅広い場面で前向きな変化が得られたとの声が寄せられています。とりわけお母さん方は、子どもの宿題を手伝ったり、学校との連絡に積極的に関わったりと、子どもの学びを支える力が高まりました。さらに、読み書きの力を得たことで、地域の会議や話し合いによ り主体的に参加できるようになり、住民同士のつながりや、地域の課題をみんなで担うという意識が強まっています。これらの成果から、成人識字プログラムは、個々の力を伸ばすだけでなく、地域全体の能力強化にもつながっていることが分かります。学び続ける土台が築かれたことで、生涯学習の輪が広がり、トレイニョル町における持続可能な発展の基盤がより確かなものになりました。

●コミュニティ幼稚園

幼児教育は、トレイニョル町の子どもたちが将来、安心して小学校へ進み、学びを続けていくための大切な土台づくりを担ってきました。幼い時期の学びの経験は、長期的な教育成果に強く影響するという考え方に基づき、寺子屋は、安全で協力的な子どもの発達を促す学習環境を提供するため、コミュニティ幼稚園のクラスを立ち上げました。
2016年から2025年までに計5つのクラスを実施し、在籍した子どもは118人(男児64人・女児54人)でした。授業は、遊びや創造性、年齢に合った学びの要素を組み合わせ、基礎的な理解と興味を育てる内容で構成されています。多くの家庭にとって、このプログラムは、体系的な幼児教育に初めてアクセスできる貴重な機会となりました。幼児教育プログラムによって、子どもたちは簡単な読み書きや数の認識、コミュニケーション能力といった基礎的な力を育み、学習習慣や意欲といった面でも初等教育への準備を整えることができます。さらに、協力する力、自信、先生や友だちとの関わりといった社会・情緒面の成長も促され、小学校での適応力が高まり、勉強が楽しいという気持ちも育まれています。

●コミュニティ図書室

図書室の設置は、トレイニョル町において読書習慣と生涯学習を促進するうえで大切な役割を果たしてきました。これまで本や学習教材に触れる機会がほとんどなかった地域に、授業以外でも知識を広げられる学びの空間が生まれたことは、大きな変化でした。図書室は単なる資料提供の場ではなく、年齢を問わず好奇心と自主的な学びを後押しする、居心地の良い場所として設計されています。
寺子屋に、児童書、基礎的な教育教材、健康や保健に関する情報、一般知識など、多岐にわたる分野の約250 冊を備えた図書室を整備しました。これまでの利用者は合計1,298人(男性614人・女性684人)にのぼり、男女バランスの取れた参加が見られました。
図書室は、児童・生徒が宿題に取り組み、若者が知識を広げ、大人が生活に役立つ情報を得ることのできる、安全で誰でも利用できる学習空間となりました。定期的な読書習慣と自立的な学びを促すことで、教育成果に寄与するとともに、生涯学習というより大きな目標の達成にもつながっています。さらに、図書室は、穏やかで支え合いのある空間を共有することで、人と人とのつながりを強める役割も果たしています。

●初等教育相当プログラム(小学校クラス)

このプログラムが、子どもたちの“学ぶ命”を救った―そう言っても大げさではない、感謝の思いがあります。貧困や困難のために何年も学校教育から離れ、未来への扉が閉ざされかけていた子どもたちにとって、もしこの支援がなければ、非識字や機会の乏しさという厳しい現実が続いていたかもしれません。しかし、皆様、そしてトレイニョル寺子屋 の献身的な取り組みによって、希望は再び灯り、道は開かれました。このプログラムは、学校教育から離れてしまった子どもや若者の学びの旅路をつなぎ直し、再び学校教育に戻ることができる、あるいはより高いレベルの教育に進むことができる架け橋となりました。柔軟で支え合いのある学習環境で、誰もが参加できる形で、基礎学力を取り戻すための機会を提供してきました。これまでに合計4クラスが実施されました。
合計71名が本プログラムを修了し、読み書きや計算、その他の基礎的な学びの力を身につけました。こうした力は、学習面の能力を向上させただけでなく、将来の就業機会や自らの成長にも良い影響をもたらしました。何より、学習者が自らの尊厳や自己肯定感を取り戻し、再び夢を描けるようになったことが大きな成果です。
この取り組みの影響は教室をはるかに超え、彼らの人生の進路そのものを変えています。今や、保護者は子どもが新たな決意を持って学校に戻る姿を誇りに思い、かつて自分は取り残されたと感じていた若者も、自信と目的意識を持って歩み始めています。このプログラムは、学習者が遅れを取り戻し、持続可能な未来に向けて取り組める意義のあるものであり、教育の機会と希望を与える命綱となっています。

●奨学金支援

教育の公平性を高めるため、寺子屋での学びを修了した経済的に厳しい学生に対し、さらに学習を続けるために必要な奨学金を提供しました。支援を受けた生徒は25名(男性10名・女性15名)で、学び続けるための費用面の壁を取り除くことで、継続的な通学と長期的な学業の成功に道を開きました。これにより、個人の成長と将来の可能性が広がっています。

●コンピューター教育

デジタル・リテラシーの重要性が高まるなか、2025年に、参加者が基本的な技術スキルを身につけられるようコンピューター研修を導入しました。ノートPC10台を活用し、計3クラスで30名が、コンピューターの扱い方、主要なソフトウェアの使い方、実用的なデジタル能力を、実習を通して学びました。
こうしたスキルは、教育や就業、日常生活において欠かせないものとなっています。テクノロジーへのアクセスが限られがちな地域において、この取り組みはデジタル格差の是正に向けた大きな一歩となり、参加者がデジタル社会に自信を持って関われるよう後押ししています。また、雇用の可能性の向上や教育に必要な能力が高まるだけでなく、必要なサービスが不足している地域において技術や情報への公平なアクセスを広げることにも貢献しています。

【収入向上プログラム】

●コミュニティ支援基金

寺子屋コミュニティ支援基金は、地域の住民が仕事を創出し、生活手段を広げ、世帯収入を持続的に高めていくための「機会の窓」として機能してきました。単なる短期の資金援助ではなく、地域が主体的に管理する経済の仕組みとして、小口の資金の提供を生産的な投資へとつなげる役割を果たしています。
これまでに71名がこの基金を利用し、利用総額は14,059米ドルに達しました。貸し出された資金は、地域の経済実情に合った、農業と小規模ビジネスに重点的に投じられています。農業では、種子や肥料、農具、家畜など必要な資材の購入を通じ、生産性向上や育てる作物の多様化を図りました。小規模ビジネスでは、小売、食品加工、手工芸、サービス業などに投資され、雇用の創出や地域の市場循 環、経済の活性化に貢献しています。
この基金の大きな特徴は利息の活用です。貸付により生じた利息は地域から外部へ出ていくのではなく、基金の経済的持続性を高めるため、地域内の共同資本口座に積み立てられる「ローカル・コントリビューション(地域貢献金)」として運用されています。
こうした回転型の基金モデルによって、時間の経過とともに基金が増加し、今後もより多くの住民が恩恵を受けられる仕組みが整います。このモデルは、私的高利貸しからの借入に頼らざるを得ない状況を大きく減らします。高金利の非公式な借入は、家庭を債務の連鎖と不安定さに陥らせがちです。対照的に、 コミュニティ 支援基金はアクセスしやすいうえ透明性が高く、地域が管理する資金調達手段です。その結果、家庭は突発的な資金難から守られ、より計画的に投資を進められるようになりました。
また、資金の調達手段が改善したことで、家庭の経済的安定性が高まりました。農繁期・農閑期の収支管理がしやすくなり、市場の需要に応じた対応や収入源の多角化が進んでいます。収入が増え、安定することで、食料の安定的な確保、子どもの教育支援、医療へのアクセス、貯蓄など、生活全般の質が向上しています。これは家庭だけでなく、地域全体のエンパワーメントにもなっています。さらに、この基金は地域住民のオーナーシップや連帯感を高めています。資本が地域のものであり、利息が共同口座に戻るため、返済がそのまま近隣の仲間や未来の利用者のためになることを参加者は実感します。これにより、期限内に返済する決まり、透明性、信頼が地域の中で育っていきます。
コミュニティ支援基金は、仕事の創出、収入向上、地域の持続的な経済成長をもたらす戦略的な「資金の窓」です。71名に対する14,059米ドルの生産的投資を通じ、非正規の高利貸しへの依存を減らし、家計の安定とコミュニティの長期的な困難からの回復を築いています。

●牛銀行(種付後の雌牛を貸与し、最初に生まれた雌子牛を返却するプログラム)

牛銀行は、家畜飼育を通じて長期的な生計の向上をめざす取り組みです。現在5世帯が参加し、地域で共同管理する仕組みを採っています。この活動は、世帯の資産形成を後押しすると同時に、協働の責任感を育てています。

●米銀行

米銀行は、食料安全保障を支えるための取り組みです。現在31世帯を支援しており、農業の重要な時期に合計9,494kgの米を提供しました。これにより、作付け期などに起こりがちな食糧不足や、それに伴う借金負担の悪化を防ぐ効果が見られます。

【組織基盤の強化】

寺子屋では、リーダーシップ、教育プログラムの調整、事務・会計、事業のモニタリングと評価、収入向上プログラムの管理といった、体系的な運営体制を整備しました。これにより、説明責任と透明性、そしてプログラムの持続可能性が強化されました。

【財務状況(2026年1月時点)】

寺子屋は、責任ある財務管理を維持しています。支援基金の運用資本は 14,059 米ド ル、米銀行と牛銀行は引き続き機能しており、現金残高は 894 米ドルです。これらの数字は、皆さまのご支援が丁寧に管理されていることを示しています。

【波及効果と意義】

皆様による10年にわたるご支援は、地域の教育・経済・社会に意義のある持続的なインパクトを生みました。短期的な援助を超える効果があり、地域の長期的な変革と能力強化へとつながっています。教育面では、識字状況が大きく改善され、子どもと大人の双方に生涯学習の機会が広がりました。とくに恵まれない立場にある人たちにおいて、学びの場や教育教材へのアクセスの向上がさらに高いレベルへの進学に繋がっています。また、小学校プログラムにより、学校に通えなくなった若者や成人の就学・学び直しが進み、個々のそして職業として必要な能力を培うことができています。
経済面では、寺子屋の支援により家計が強化され、家計の脆弱性が軽減されました。コミュニティを基盤とした金融メカニズムや生産的投資を促進することで、各家庭は収入源を多様化させ、農業生産性を向上させています。これにより家計の安定化が進み、非正規の高利貸しへの依存が減少し、より強靭な地域経済システムの構築につながっています。
社会面では、家庭内および地域社会における女性学習者の知識・技能・意思決定能力を高めることにより、女性のエンパワーメントが促進されました。共同での活動やプログラム運営を通じ、地域の協力体制も強化されています。その結果、受益者は自信と自立心を高め、取り組みが発展していくプロセスにより取り組みへのオーナーシップをより強く持つようになりました。
総じて、この10年の支援は、教育の強化、経済の安定性向上、地域の社会的エンパワーメントという、全体的かつ持続的なインパクトを創出しました。

【今後の展望】

この10年の大きな前進と地域の変化を基に、寺子屋は次の段階へ進もうとしています。これまで築いてきた基盤をもとに、拡充・工夫・さらに深い地域との関わりを目指します。
まず、デジタル教育の拡充です。テクノロジーが学びや仕事、暮らしと密接に結びつく21世紀において、デジタル・リテラシーは不可欠です。トレイニョル寺子屋では、コンピューター教育を取り入れ、オンラインでの情報の調べ方、デジタルでのコミュニケーション、責任あるインターネット利用を導入・強化します。学習活動にデジタルツールを組み込むことで、児童・生徒、成人学習者とも情報へのアクセスが広がり、学びの視野が広がり、学業や就業の場面での競争力が高まります。
次に、若者のスキル向上の機会の拡大です。学校教育による支援に加え、若者は労働力として上手に適応するために役立つような、実践的で経済市場に関係するようなスキルを必要としています。寺子屋では、職業に結びつくような訓練、起業の意識向上、ライフスキル教育、コミュニケーション、チームワーク、問題解決といったソフトスキルを育む取り組みを進めます。これらの取り組みにより、若者が自信を持って地域の担い手になっていけるよう後押しします。さらに、経済的に困難な家計に回復力をつける生計向上の取り組みの強化です。教育と収入向上活動を結びつけることで、家庭が子どもの就学と長期的な成長を安定して支えられるようになります。地域の貯蓄活動や小規模ビジネスの支援、農業改善プログラム を拡大し、外的要因によるショックにも強い地域経済を目指します。最後に、地域参加による財政的持続性の強化です。地域からの支援金、ボランティアによる協力、役割分担を奨励することで、寺子屋運営への当事者意識を高め、長期的にセンターを支える力を育てます。計画づくりから資源管理まで、地域が主体的に関わるほど、成果は持続的でみんなで享受できるものになります。
今後も、ご支援いただける皆様、地域住民、関係者が協力し合うことが不可欠です。新しい課題や持続的発展の機会にも適応しながら、全ての方々による努力、事業の透明性、イノベーションによって、トレイニョル寺子屋は今後も成果を上げていくことができるのです。

【謝辞】

トレイニョル地域の住民一同は、皆様の10年にわたる揺るぎないご支援、ご厚意、そして信頼に対し心から深く感謝申し上げます。長きにわたるご協力は、単なる支援にとどまらず、地域がしっかりと自立し、成長し、自信を持って前へ進むための力を与えてくださいました。皆さまの寛大さによって、不安定な状況にあった多くの家庭が、子どもたちと自分たちの未来により確かな道筋を見出せるようになりました。
本報告書に記した成果は、単なる数字やプログラムの結果ではありません。変化していく人びとの生のストーリーを伝えるものです。学びに前向きな生徒が集まる教室、新たな機会を得たことにより経済的に強化された家庭、自信をもって声を上げられるようになった女性や若者――これらは、信頼と共通のビジョンにもとづく真摯で長期的なパートナーシップが実らせた成果です。距離や文化の違いを越えた国際的な協力の精神が、教育と協力、そして全員の努力を通じ、地域の住民がより良い未来を築いていくことを 力強く後押ししました。
私たちは、深い敬意と感謝を込めて、今後もこれらの取り組みを継続していく決意をあらたにしています。皆さまからのご厚意によって芽吹いた種を、次の世代へとつなぐために大切に育てていきます。これまでの10年を形づくってきたパートナーシップ、責任、そして希望という価値を、これからも道しるべとして大切にしてまいります。

<< ユネスコ世界寺子屋運動 活動情報 >> 2025年3月

2016年の寺子屋完成以降、識字クラス、復学支援(小学校・中学校相当)クラス、幼稚園クラスなどの基礎教育プログラムに加え、図書室の運営、職業訓練クラスなどの収入向上活動や、地域のリーダーを養成する寺子屋運営委員研修など、幅広い活動を行っています。

識字クラスは午後7時から9時まで開講されており、2016年から2024年の9年間で457人が学びました。そのうち8割以上が女性で、基本的な読み書きや計算ができるようになりました。その結果、地域の90%以上の人々が基本的な識字・計算能力を身につけています。

加えて、2025年には、寺子屋がこれまで収入向上活動(小口融資)を通じて獲得した資金等を活用してPCを購入し、基礎的なPCスキルと英語を学ぶクラスを開講しました。

一方で、シェムリアップ州内には依然として識字率の低い地域が点在しており、引き続き支援が求められています。今後も地域のニーズに応じた多様な支援を進めていきます。

【識字クラス(2024年)】
【識字クラスを修了した女性たち(2024年)】
【PC・英語クラスの様子(2024年)】
【読み聞かせを楽しむ子どもたち(2023年)】
【収入向上活動(米銀行)(2022年)】

倉木麻衣 みんなでカンボジアに寺子屋を建てよう!プロジェクトに参加するのはコチラより

<< 2022年度世界寺子屋運動 カンボジア活動報告 >>

◆2022年度カンボジア寺子屋完成報告

プロジェクト 21軒目となる「ワリン寺子屋」(2023年2月開所)を州北部に建設、完成しました。

◆教育プログラム
◎識字クラス ~内線内戦時代に教育を受けられなかった方などへ~

トレイニョル寺子屋2022年

▲民家の軒先を借りて識字クラスを実施(2クラス・50人が学んだ)

◎小学校クラス ~寺子屋における学びなおし~
中途退学の要因を取り除く

▲制服、学用品のほか通学用の中古自転車を提供

▲月2回の給食 ごはん+具だくさんのスープ1品

◎中学校進学支援 ~義務教育で最も格差が表れる年齢層の子どもたちへ~

対 象:寺子屋卒業生or中学校中途退学者
期 間:1~3年間
内 容:制服・学用品などの支援、補習の実施、中学校校長との連携による面談などのサポート(適宜)

《課題》
■中学校就学率 58.16% (2020全国平均/UIS)
■政府目標「2030年までに義務教育(9年間)の完全普及達成」とのギャップ
■科目数が倍増、高度化。
■生徒の家庭での役割の増大。

◎幼稚園クラス ~農村地域に就学前教育の場をつくる~

対 象:3-5歳
時間帯:朝7-9時
期 間:8カ月間
内 容:遊びを通してマナーや衛生、文字や数字を覚える

→ 保護者へ小学校入学のサポート

《背景》
■カンボジア農村部には、幼稚園がほとんどない。
■幼い子どもを預ける場所がないため、親たちは田畑へ連れていく。
■子どもたちは徐々に労働力になり、小学校に入学しそびれるケースも。

◎図書館活動
トレイニョル寺子屋2022年

▲幼稚園クラス・小学校クラスのこどもたちのために図書を追加購入

◆人材育成(村のリーダー養成)
◎寺子屋運営委員会

▲各寺子屋は、地域住民の中から選挙で選ばれた 「運営委員」がボランティアで運営にあたる。

トレイニョル寺子屋2022年
◆収入向上プログラム
◎収入向上活動

▲お金を貸す仕組み

◎小口融資の管理
トレイニョル寺子屋2022年

▲寺子屋運営委員会を中心に資金を管理

◎米の貸し付け(米銀行)
トレイニョル寺子屋2022年

▲家庭で米が不足する時期に貸し付けを行う

<< 2021年度カンボジア寺子屋完成報告  >>

プロジェクト 20 軒目となる「トラム・ササー寺子屋」が完成しました。
世界遺産アンコール遺跡群のあるシェムリアップ市街地から北西に車で約2時間のところにある、スレイスナム郡トラム・ササー コミューンに、新しい寺子屋が建設されました。

トラム・ササー寺子屋外観

▼ノン・ブッタ所長から寺子屋運営。委員長へ図書の贈呈

ノン・ブッタ所長から寺子屋運営。委員長へ図書の贈呈。

▼図書の整理がされるとすぐ、近所の子どもたちが集まって本を読み始めた

図書の整理がされるとすぐ、近所の子どもたちが集まって本を読み始めた
◎募金者銘板

▼寺子屋の正面玄関入り口脇に設置しました。

募金者銘板 募金者銘板 拡大画像
◎開所式

2022年4月8日(金)、シェムリアップ州内の行政や教育関係者を招き、開所式を行いました。カンボジアの1年で最も暑い4月の日差しの中、感染対策をしながらの式典でしたが、地元住民およそ 400 人が集まる盛大なものになりました。

▼僧侶によるお祈りから式典開始

僧侶によるお祈りから式典開始

▼シェムリアップ州副知事など来賓からのあいさつ

シェムリアップ州副知事など来賓からのあいさつ

▼子どもから高齢者まで、地域の多くの人びとが集まった

子どもから高齢者まで、地域の多くの人びとが集まった

▼これから寺子屋で学ぶ子どもたちに自転車・通学バッグ・制服・文房具を贈呈

これから寺子屋で学ぶ子どもたちに自転車・通学バッグ・制服・文房具を贈呈

▼テープカット

▼札幌ユネスコ協会の寄付で井戸(左)と浄水設備(右)を設置し、深刻な水不足解消への貢献も期待される

札幌ユネスコ協会の寄付で井戸を設置 浄水設備を設置し、深刻な水不足解消への貢献も期待される
◎建設前(運営委員選挙・建設工事など)

▼建設業者の選定会議

建設業者の選定会議の様子

▼建設工事中の寺子屋

建設工事中の寺子屋の様子

▼運営委員選挙・住民への説明

運営委員選挙・住民への説明する様子

▼運営委員選挙・投票の様子

運営委員選挙・投票の様子

■開所式の様子の記事はこちら
■寺子屋運営委員選挙の記事はこちら

<< スグォン・ソパル(コックスロック寺子屋)識字学習がもたらしたもの >>

◆自己紹介

・5人兄弟姉妹がいます。ポル・ポト時代に父を亡くしました。
・現在39歳。
・シエムリアップ州プラサト・バコン群ロリュオス・コミューン コックスロック村に住んでいます。
・20歳、19歳、14歳の3人の子どもがいます。
・夫はバイクタクシー運転手の仕事と、米と野菜の栽培をしています。
・学ぶことは好きです。しかし、教育を受ける機会に恵まれず、1990年に小学校を中退しました。

◆寺子屋で識字クラスに参加しました。

識字クラス(2007年) 識字クラス(2008年)

◆寺子屋の運営委員会に参加(2008年)

寺子屋の「コミュニティ図書館」担当になりました。 読み書きができるようになったので、研修を受けて、利用者・貸出記録を付ける仕事を任されました。

◆様ざまなトレーニングを受けました。

読み書きができるようになり、貯蓄や農業の知識を得られる研修に出ることができました。

◆他のNGOにも村のリーダーとして貢献

様ざまなNGOが行う「自助グループ」「コミュニティ市場」「農業」の各プログラムのファシリテーターに選ばれ、村の皆の指導をしています。

◆寺子屋の幼稚園クラス教員(2009年~)

幼稚園クラスの教員に選ばれました。
それまで担当していた図書館活動は、幼稚園クラスと共通点が多かったためです。

◆現在は指導者の指導も行っています。

村ではリーダー的な役割を任され、「自助グループ」「農業プログラム」ではマスタートレーナーとして活動しています。2016年からRACHAというNGOのワークショップで、他の村にも派遣されています。
村の皆や家族から敬意を持って接してくれるようになりました。

<< 倉木麻衣への手紙 >>

倉木麻衣お姉さんへ

私の名前はロイ・サランです。トレイニョル寺子屋復学支援クラスの2年生です。お元気ですか?私と私のクラスメートはみんな元気です。お姉さんがいなくてさみしいです。私たちの教育へのご支援ありがとうございます。寺子屋に通える生活はとても楽しいです。私はたくさん友達ができて、先生の授業だけでなく友だちと過ごす時間を楽しんでいます。寺子屋にいる時間が私にとって最高の時です。

それからお姉さんには、私はもうすぐクラスを卒業するということをお知らせしたいです。今は、修了テストに合格できるように勉強を頑張っています。そして、中学校で勉強を続けて、夢をかなえたいです。お姉さんからの親切と、このチャンスをもらったことはずっと忘れません。

最後に、いつかまたお姉さんに会う機会があるよう願っています。体に気を付けてください。お姉さんの健康と、美と、人生の成功を祈っています。大好きです!

サランより

倉木麻衣お姉さんへ

僕の名前はサー・コムサです。トレイニョル寺子屋の復学支援クラス2年生でクラスの代表をしています。お元気ですか?クラスのみんなは元気です。僕たちがまた学校に通えるように、この寺子屋の復学支援クラスをサポートしてくださってありがとうございます。

僕はこのクラスが大好きです。一番好きなことは、クラスの友達と遊ぶことです。休み時間はいつも、みんなと一緒に寺子屋の前で遊びます。時々図書館で本を読むこともあります。寺子屋には友達や先生など、僕を気にかけてくれる人がたくさんいます。

最後に、お姉さんはカンボジアにはいませんが、お姉さんの親切な心は僕たちの心の中にあります。お姉さんのおかげで僕たちは再び勉強する機会に恵まれたので、がっかりさせません。いつかお姉さんに会うことを願っています。お姉さんの健康と素晴らしい人生を祈っています。僕たちはお姉さんが大好きです!

コムサより

倉木麻衣お姉さんへ

私は、トレイニョル寺子屋復学支援クラス2年生のディ・サリンです。お元気ですか?私たちは元気です。また勉強ができる機会を得られて、とても興奮しました。お姉さんの親切な心に感謝しています。
寺子屋では、たくさんの良い友達と、良い先生に恵まれています。先生は私たちをやさしく教えてくれます。私は友達と遊んでいるととても幸せで、悲しい事や不安を忘れられます。私と私の友達は、一緒に図書館に行くのが好きです。挿絵や写真が載った物語やノンフィクションを読むのが好きです。

最後に、私はお姉さんの親切を忘れたことはなく、いつも思い出しています。私たちをドロップアウトから救ってくれたからです。私たちはお姉さんに会ってお礼が言いたいです。身体に気を付けてください!
お姉さんの美と健康と成功を祈っています。私たちはお姉さんが大好きです。

サリンより

「国際識字デー」に合わせてカンボジアから寺子屋教員のスグォン・ソパルさん、カンボジア事務所教育担当のクラン・バンタイさんが来日され、お礼とご挨拶にと来社されました。
トレイニョル寺子屋の活動、子供達からのメッセージ、ソパルさん自身の寺子屋での学習体験についてそれぞれご報告いただきましたので、皆さんぜひご覧ください!

(右)カンボジア事務所教育担当:クラン・バンタイさん
(中)カンボジア寺子屋幼稚園教諭:スグォン・ソパルさん

<< トレイニョル寺子屋 活動報告 >>

1.コミュニティ幼稚園(2016年27人、2017年25人)

3-5歳の子どもたちが参加しています。学ぶ喜びを知り、クラスに通うことを好きになっています。

2.復学支援クラス(初等教育)2016-17年:25人

2年間で小学校のカリキュラムを学ぶクラスです。
昨年始まり、子どもたちは2年目に入っています。

3.栄養プログラム(給食)

復学支援クラスの生徒たちに、月に2回の給食を提供し、成長を支え健康を守るプログラムです。

4.識字クラス(2016年50人、2017年50人)

15歳以上の読み書きのできない人を対象に、現在2クラス開催しています。

5.コミュニティ図書館

図書館では、主に子どもたちが読書や折り紙を楽しんでいます。

6.収入向上活動(2016年度30家庭、2017年度40家庭)

寺子屋から小口融資をして、村人が新しい仕事を始め、現金収入を得られるよう支えています。

7.進学支援プログラム

2021年に卒業する復学支援クラスの子どもたちに、公教育の中学校への「進学支援プログラム」を始めました。

8.新型コロナウイルスの影響(2021年7月20日)

現地では、医療体制が潤沢でないこと、東南アジア全体での変異株の流行を受けて、強い措置を取っています。濃厚接触者の隔離や人の集まる人数制限など、さまざまな行動制限の影響で経済活動も縮小せざるを得ず、多くの家庭が苦境にあります。

◎寺子屋の状況

このような時だからこそ、柔軟に人々の学びと生活を支える寺子屋のような場所が必要との思いで、現状を踏まえながら、できる限りの支援を続けています。
現在は、寺子屋出身の子どもたちの中学校進学をサポートする「進学支援プログラム」と、小学校を中途退学した子どもたちのための「復学支援クラス」が実施できています。
その他、識字クラス、幼稚園クラス、職業訓練は、状況の改善を待って再開予定です。

◎授業の様子

テレビやオンラインによる遠隔授業を受けられない中学生たちは、週に1回程度通学し、紙で宿題の提出と受け取りをしています。
トレイニョル寺子屋も、感染予防に取り組みながら識字クラスなどの準備をしています。

<運営委員ミーティング@トレイニョル>
マスク着用・距離を取って着席。

授業の様子。マスク着用・距離を取って着席。
 

<復学支援クラス>
コロナ禍の授業の様子。

コロナ禍の授業の様子。 コロナ禍の授業の様子。

2月25日(木) 「倉木麻衣 みんなでカンボジアに寺子屋を建てようプロジェクト」で全額を支援した寺子屋が遂に開所式を迎えました。 開所式には副知事などの来賓と1,000人近い地域住民も参加、地元メディアが殺到しての大変盛大なものとなりました。

教室内には倉木麻衣直筆イラストのタイルが飾られました。
※協賛&協力:金羊社様

教室入り口には今回の寺子屋設立にご支援いただいた
皆様のお名前が銘板となって飾られています。

開所式後、真新しい教室で地域の子ども達に向けた
音楽の授業が行われました。

授業の最後には、カンボジアと日本の国旗にそれぞれの夢を書いてもらいました。